地下の思惑

喫煙所にありがちな缶コーヒー

 地下の喫煙所でバッタリと同期に遇う。あいつは地方配属だったはずなのに。予想外の出来事。話を聞いてみれば、今月付けで異動してきていたらしい。うれしい事実。こんな出来事が3人続けば、そりゃあうれしいってもんだ。喫煙所で遇った連中以外でも2人の同期が、異動で同じビルになった。社内のローカルルール「3年目社員が本社に集まるの法則」、俺たちも例に漏れず実現したようだ。少なくとも、今年1年よろしく頼むぜ。
 一方で、いつも喫煙所で出会う人たちからすれば、新規入場者なわけで。そんな人はここ最近、ずっと違和感のある顔をしていたよ。それは、この喫煙所に新しい人間が登場したからではなく、職場における、仕事に関係する人間が変わったということに対しての顔だ。
 人の入れ替わりなんて、日常茶飯事、一喜一憂。俺だって、きっと同じ顔をする場面があるだろう。人の認識なんてそんなもんと思いつつも、うまくここでやっていけるように小細工したがっている。それが俺。
 入れ替わりや、新世代を求めながら、その姿勢にしがみついている。
 地下の思惑。様々な思いが駆け巡る。