Turn the speak stop, it's driving' me crazy

PUPPY

 通らない下請けへの合格決裁。キレる担当部長。とばっちりの主査。姿の見えない課長。途方に暮れる俺。もうハードウェアもソフトウェアも出来上がっているのに、客も問題無く使い始めようとしているのに、客に出す納品物が気に入らないみたい。それって今回の合格決裁に関係無いことなのにね。いちゃもんだよね。
 ベテランの先輩が作った完成図書。表紙・プロジェクト計画書・要件定義書・仕様書・設計書・ソースコード・試験表・性能結果表・工事写真・物品保守コード番号表。完璧だよ、先輩。客の望むとおり、納期内に仕上げて、提出前に成果物のほとんどにすでにお客と営業から承認貰っている。SEとして、これ以上ない仕事してる。担当部長、あんたが気に入らないのは、そこにあんたの名前が刻まれていないことかい。
 おかしなことを言うなよ。これらを客に渡すと会社にとって背任行為になると言う。引き渡すのは図面が1枚、パラメータ一覧が1枚、それとソースコードを紙で100ページなのだと言う。どこの契約書や議事録見ても、そんなこと書いちゃいない。説明も聞かない。だいたい、今回の決裁に関係ない。呆れてものも言えない。いつも通り小笠原パトロールでもしていればいい。俺からすれば、PUPPY*1に指かざすだけの存在のなんだよ。俺のことを「アレ」呼ばわりして裏で指示していること。俺は覚えておくよ。必ず覚えておく。
 俺の後に呼び出された先輩は、フロア全体に聞こえるように辱められて、俺以上にひどいことを言われていた。営業のフロアにまで連れ回されていたみたい。普段柔和な先輩の顔が、あれほどに歪むのを俺は初めて見た。とてもショックな風景。契約の話で、あんたのさらに上司から突っ込まれたことを、あんたが返答できなくてモメたんだろ。それを、今まで話を聞かされていなかったなんて言い訳するのは最悪だ。あんたが承認しなけりゃその上には話はいかねえんだよ。あんたは気に入らないことを言いたい放題するだけだが、俺たちは言いたいことも言えないから、あんたが気に入らない。
 いつ戻ってきたのかわからない課長。資料の作り直しをするために、俺に徹夜を強要する。それが法律に触れるかもしれない内容修正だと気づいていても、強要する。組合へは強気で、一方で担当部長へのゴマすりが大好き。お前らが望むとおりの書類を作るために、俺はここで仕事しているわけじゃないんだぜ。今の体制がホントにイヤになった。ホントに失望したよ。今回のこと。
 クソ喰らえ。クソ喰らえだ。

*1:電子承認システムにログインするUSB端末