ただ胸の中に

あなたの美しさに何が叶うだろう
虚空に焦る生活も 咲き狂う桜たちも
あなたの美しさに何が叶うだろう
照らし出す汗も 生き急ぐセミたちも


偶然か必然かわからないけれど 僕たちは出会ってしまった
昔飼っていた猫が死んだとき 別れの悲しみは教えられたのに
あなたにつらく当たる僕を あなたは決してよくは思わないだろう
でもそれが精一杯であって 高め合うことが重要と誤魔化している


僕たちの営みをどこで始めよう
思い出に涙する日々も 枯れ行く木々たちも
僕たちの営みをどこで始めよう
紫煙と吐息混じる朝も 切れてしまった腕飾りも


無我夢中で声だけは大きいまま 駄目だとわかっていてももう戻れない
張り巡らされた壁は見えないふり 僕は裸の王様気取りでいる
その奥に秘めたのは涙 それとも涙のままで実質は異なるものかも
僕があなたの猫ならば 微笑みだけでなくさらに与えてくれたろうに


初めから夢見心地なのかい 憎いよ あなたが憎い
相変わらず俺は意味不明で相手にされていない
心だけは通じ合って 心だけでは通じ合えなくて
僕は童貞でもないし 僕は浮気で仕方がない
あなただけを一心不乱に見てはいられない


けれど側で微笑んでおくれよ 無性の愛でもって
今はたった一人あなたが恋しくて ただ恋しくて