長いお別れ

Gimlet

 何気なくギムレットを飲んでいるときにレイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」を思い出した。
 そしてテリー・レノックスのセリフ、「ギムレットには早すぎる」を言うことになるとは思わなかった。これしか出てこなかったんです。
 フィリップ・マーロウのセリフにも好きなものがいくつかある。その中でも前述のセリフを受けて少し後の、「君とのつきあいはこれで終わりだが、ここでさよならはいいたくない。ほんとのさよならはもういってしまったんだ。ほんとのさよならは悲しくて、さびしくて、切実なひびきを持っているはずだからね」は1つの極ではなかろうか。サイコロを投げてしまったから、その後はこの物語と同じように締めくくる気でいる。レノックスが好きなようにギムレットを甘くして、最後に最後の1杯ほど未練を試し、さよならを言うことなく。